= vol.5 =
 
雨が降り、雨が止み、美しい夕暮れ時を迎えました。
明日は、女王さまが世界の平和を実現する為に、「高句麗伝説」を開催する大事な時に、いだきしん先生が1日中、コーヒーを焙煎して下さいました。
最後の焙煎を終わり、いだきしん先生を囲み、皆で夕食を頂きました。とっても美味しい食事でした。皆黙ってもくもくと食べていました。お皿の上に何もなくなり、周りを見ると、クマが立ち上がり、イタチもコアラも一気に厨房へと走りました。何事が起こるのかとその空気に耳を立て、鼻を利かせます。

カバも厨房へと入り、何やらニヤニヤしています。グリーンのシャツに 繋ぎを着、立っているのです。いだきしん先生がコーヒーを淹れられています。その様子は神様の儀式のようです。とても静寂で、厳かです。アホウドリはそばに立っていますが、何をしているかはわからない表情をしています。一体何が起こるのか、その空気は何の始まりか…。ラクダも恐竜もさるもタヌキもただいそいそと働いています。いだきしん先生がコーヒーを淹れ終わると、一斉に、ラクダ、恐竜、さる、タヌキがコーヒーカップに注ぎ、カップをテーブルに運んでいます。イタチもコアラもカバも何か動きが妙なのです。何かを隠しているような、何か起こることを楽しんでいるような…。 突然、電気が消え、暗くなりました。



クマが、デコレーションケーキにろうそくを立て、歌を歌い、やってきました。カバも、イタチもコアラもラクダも恐竜も、さるもタヌキもアホウドリも歌を歌っています。

「ハッピーバースデイー」

デコレーションケーキには「女王さま、お誕生日おめでとうございます」と書かれたチョコレートがのっていました。15本のロウソクが立っています。歌を歌い終わった時、女王さまはろうそくを一吹きで消してしまいました。さすがです。

皆でパチパチと手を叩き、お祝いしました。皆で頂くコーヒーとケーキは美しい水が体に注がれたように清々しく、美味しく楽しいです。

カバが、女王さまに、15歳のお誕生ですね、と話しかけていました。数が数えられないカバは、適当に言ったのでしょう。女王さまは、よくわかるわね、とカバを褒めました。カバはケラケラと笑い喜びました。何かわからないけれど、女王さまが喜んでくれたことが嬉しかったのです。クマもイタチも自分たちが作ったケーキを美味しいと喜び食べてもらい、上機嫌でした。こんなに嬉しい日はないと皆で喜びました。結工房は、言葉は通じませんが、気持ちが通じる仲間が暮らしています。楽しい暮らしです。